THE AVANT(アバン)

 ブランドのディレクションを務めるシルビアはロンドンの“Royal College of Art”を卒業後ニットデザインを手掛けるニコルと、2003AW Barcelona Collectionでアバンを発表しコレクションデビューを果たした。
 着心地の良い素材を使用し直線と曲線を織り交ぜ独自のフォルムを作り上げる事を大切にし、相反する二つの要素、デリケートと粗野、マニッシュとエレガンス等を常に対比していくことにより着易さとオリジナリティの両立を可能にしている。その対比の中には布帛(織物)とニット(編み物)といった要素も含まれており、スタイリングの中で布帛とニットは常に連動し、一つのスタイルの中で融合することもしばしばである。シンプルなデザインで一見これって凄く単純な作りなのでは?と思わせる物も実際袖を通してみると平面パターンからではなく立体からパターンを起こしておりシルエットやドレープ感は真似が出来ない素晴らしさ。B.A.Tでは06'AWよりの取扱いとなるが、流行り廃りとは無関係なオリジナリティ溢れるデザインながら新鮮な印象でコレクションブランドにしては値頃感もありユーロレートの影響もあって高めなヨーロッパメーカーの中でもお勧めなブランドである。
  

THE AVANT WOOL/LINEN KNIT ARM SHORT JACKET (税込)¥44,100
THE AVANT WOOL/LINEN RIBBON BELTED SKART (税込)¥35,700

 アバンの特徴が良く出ているコーディネートです。デザインコンセプトとして直線と曲線を織り交ぜて相反する2つの要素の対比を謳っていますが、コレクションを見ると天然素材の素朴な風合いを活かした生地を使い女性らしいガーリィな味付けはしてあるもののチープ感や行き過ぎた感じのないバランスのとれたデザインで対象年齢を選ばないリアルクロージングと言った印象です。ドレープをたっぷりと取ったトップスと分量はあるのだけれどそれを感じさせない直線構成のスカートの組合せも甘くなり過ぎず可愛さの中にもどこか清潔感というか落ち着きを感じさせてくれるスタイルです。もちろん可愛く可愛く着ることも出来ますよ?中にフリルのブラウスとか着ちゃうと何処ぞの貴族のお嬢様かはたまたメイドさんかと言った雰囲気にもなりますので。とにかく一度着ると次も着たくなる服です。


 袖がニットになっているウール/リネンのジャケットです。裾周りは生成の麻に切り替えてあり、それにギャザーを寄せてフリルのようにしてあります。その生成に合わせてニット袖の肘に手編みで同色の太い毛糸でレース編みしたものがあしらわれています。ニット部分が長いため袖口と肘を合わせると、ニットに布帛の部分が重なってあたかもニットの上からハーフスリーブのジャケットを着ているようになります。ですから中に別の例えば生成や白のブラウスとかを着ると3種類のレイヤーに見えます。そしてショート丈を活かして裾のフリル部分が高いウエスト位置で切替になり、ウエスト位置を高めに見せてくれるので、足が長く綺麗なシルエットに見えます。このタイプのジャケットはアバンでは定番的に用いられ生地や若干のデザインやこなしを変えてよく見られますが、独特な世界観を表現するのに欠かせない物になっています。そんな特徴あるジャケットですが、着てみるととにかく可愛いし、何気に合わせ易い。スカートに良しジーンズに良しの優等生です。

THE AVANT WOOL/LINEN KNIT ARM SHORT JACKET (税込)¥44,100



  

THE AVANT WOOL/LINEN RIBBON BELTED SKART (税込)¥35,700

 ウール/リネン素材のスカートです。非常に凝った作りになっていて、後側は日本の袴のように腰の部分に沿うようになっていて前側に来ると両サイドで終わっており、プリーツスカートを履いた上からエプロンを後ろ前に縛ったかの様なデザインになっています。それをエプロンの紐のように左右から持ち出したベルトで留めるのですが、リボンのように結んで垂らすことが出来るように長く取ってあるのでそのまま垂らすも良しリボン結びをするも良しです。プリーツと切り替えで縦のラインが多用された前からの見た目と後のシンプルなボックススカート調の見た目の対比が着ていて楽しくオリジナリティを主張する一着です。


  

THE AVANT WOOL KNIT ARM SHORT JACKET (税込)¥44,100
THE AVANT WOOL/COTTON REVERSIBLE SKART (税込)¥37,800

 袖がニットになっているショートジャケットのバリエーションと同素材のスカートのコーディネートです。スカートについては後にして、ここではジャケットについて説明します。同じこなしでも組み合わせる素材を変えるとこんな風にシックなると言う良い例です。このジャケットはウールギャバジンの本体に同じグレー系のニットを合わせ、オリーブグリーンの綿で裾周りのフリルを作っています。でもそれだけだと上品すぎて表情に乏しいからかウエスト部分に同じニットを配して、ウエスト部分を更にスッキリ見せつつカジュアルさを増しています。そうすることでウール/リネンのジャケットに比べ落ち着いた雰囲気を出しながら、デザイン的な面ではよりカジュアルにしてバランスを取っているのでしょう。グレーや黒のパンツやスカートなら相手を選ばない上に、着こなしとしてはオリーブのフリルに合わせてカーキやオリーブのカーゴパンツと組み合わせても楽しい気が。アバンの懐の広さを感じる一着です。


  

THE AVANT WOOL/COTTON REVERSIBLE SKART (税込)¥37,800

 で、ジャケットと同素材の組合せになっているスカートです。一見シンプルなスカートですが、たっぷりと生地を使った贅沢な作りになっています。そしてウエスト部分のリブで表のウールと裏のコットンを繋いでいてひっくり返すとグレーのウールスカートからオリーブの綿スカートに変わります。どちらにしろ裏地ではなく表地になる生地を二枚使って作っているので二枚のスカートを合わせている状態なのですが、贅沢に取った生地の分量とそこから生まれるドレープ感のあるシルエットで、どちらを表にして着ても非常に良い雰囲気です。オリーブ側を若干短くしているので、ウール側で着るとシックで大人な雰囲気になりコットン側で着ると裾からウール地が覗いてカジュアルな感じになります。その日のトップスに合わせて使い分けると良いでしょう。便利ですよ?
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