メンズパタンナーとして10数年の経歴を持ち、《ヤブヤム》のパトリックライアン氏と共に代官山のレディスセレクトショップ“EDIT
FOR LULL”の立ち上げなどをした松下貴宏氏が、2000年からスタートしたブランド。その着心地の良さは松下氏のパターンナーとしての実力を十二分に表すに足る素晴らしい物だが、彼がマスプロダクトに乗らず、敢えて自分のブランドを設立するだけの意味はそれだけに止まらない。
BRAQUEの作品(敢えて商品と言わず作品と言わせて貰うが)は、デッドストック生地や一反のみで織立てた生地、松下氏が現在パリ在住のこともあり蚤の市で集めたアンティークの付属等、松下氏が納得のいく素材のみを使っていて、使っている生地や付属の特性上仕方のないことではあるが、同じ素材の物は多くても20着程度しか生産出来ない。一見ベーシックに見えてもただのドレスシャツやジャケット・パンツ等ではなく、ダーツとスリットを同時に取っていたり縫製している職人の限界を探る様な仕様になっていたり他のプロダクツにはない一種の諧謔とも言うべき遊び心に溢れているのだ。とはいえそういった自己アピールをするブランドは後を絶たないわけで、その大半がただ奇抜なだけであったり生地の値段が高いだけだったりと独り善がりに終わってしまう物なのだが、BRAQUEは幾多のブランドとは一線を画す、いわば「酸いも甘いも噛み分けた粋人が大真面目で思いっきり遊んでいる」服なのである。B.A.Tでは05'春夏より取り扱いを開始しているが、05'秋冬からは新たにより大人の雰囲気なBLUE
BRAQUEを加え、別注を含めたより多くの取り扱いがあるので是非味わって欲しい。