ETHOS CLUB(JAPAN)

HORMONEの所でETHOS CLUBについて大雑把に触れてしまっているのでどう書こうか悩んでしまいますが、日本の靴業界の良心と言っても過言ではないのがこのETHOS CLUBです。大手セレクトショップや百貨店数十社のディレクションを手掛ける小松義照氏のプライベートブランドで、日本の靴職人(工場)の存続や技術の継承に心を配りつつ、買う側の立場に立ち適正価格で本格靴を提供しています。使われている日本人の足型にこだわった木型は全て小松氏の手による物で、履いてみると判る抜群の履き心地です。生まれも育ちも下町の小松氏のこだわりは江戸っ子らしい「粋」というものに集約されると言えるでしょう。それは表ッ面の派手さやはったりの聞く名前ではなく、機能性であるとか着心地履き心地など身に着けたときの気持ちよさ、同じ見た目でも見えないところに凝らされた職人の技巧など、物事の本質や受け継がれてきた伝統を大切にしつつ敢えてそれをひけらかさず、それでいて滲み出るさり気ない主張のような・・・(こんな風に言葉にすると粋ではなく野暮なんですが)そんな現代において忘れられようとしている古来培われてきた日本の美学を靴を通して体現しようとしているような気がします。そういうこだわりは一般的には受け入れがたく、手っ取り早くネームバリューのあるインポートブランドや一見高そうなはったりの効いた靴を有り難がる人には理解されません。でも!もし自分なりに物の本質に迫りたいという気持ちがあるなら手に入れて履いてみることをお薦めします。最後に一つ。B.A.Tで取り扱っている靴は張り替えできる物は全てソールの張替を受けています。それは小松氏が「若い職人の修行になるから」と、他社の物でも気持ちよく受けてくれるからです。こだわり故の厳しさに隠れた懐の広さに、人としてのあり方を考えずにはいれません。
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