一兎(イット)

 和装というのは着こなしている人を見ると格好良いなぁ、と思う反面実際に着る機会はあまり無いのが現状です。日本における服飾文化として和装という物は世界に誇る素晴らしい物だと思いますが、現代においてスーツを着て仕事をし、オフにはジーンズTシャツに代表されるカジュアルで過ごすという洋装の文化が主流となっているので、衰退産業になってしまっているのは否定できない現状です。でもやはり京都や浅草に遊びに行って街を歩く、そして和服以外の日本文化、陶器であり建築でありを見るにつけ和装文化ももっと現代の生活様式の中に取り入れられるべきではないかと常々思ってきました。そんな折りにタイミングよくというかいきなりというか、お客様でもあり友人でもある横小路幸延氏がやって来たんです。え〜、彼は大学卒業後数年企業に勤めた後、一念発起して文化服装学院に入り直しLONDON COLLEGE OF FASHIONに修士留学、修士課程卒業後日本に戻っては来たけれど、日本のアパレル業界の経験重視というか叩き上げの経歴しか見ない体質にはまり、アパレル就職を断念して自分で身を立てる道を模索していたんです。 と言うところまでは把握していたのですが、転んでもただでは起きないと言うかバイタリティに富んでいるというか、後継者不足で職人が激減している和装の業界、その中でもあまり聞くことのない「鼻緒職人」という修行をして鼻緒のある履き物ならほぼ作れるというレベルになったところでオリジナルの下駄や雪駄等の履き物を洋服に合わせる(勿論和装でも良いんですが)提案をするブランド、“一兎”を立ち上げたと言って作品を見せに来てくれたんです。毎年夏の履き物に関してはあの手この手を試しては見るものの、これと言って他の店の取り扱うブランドに対して差別化が図れる物にはなかなか当たらない物だったんで、これはもしかして?と思い色々と見せて貰いました。そしたら日本の履き物はほとんど手作業で作られる物ばかりで、彼が手掛ける鼻緒を作ってすげるのもほぼ完全な手仕事なのです。日本におけるカジュアルでの雪駄というと、70's風なジャポナイズドアメカジスタイルとしてジーンズ&Tシャツに雪駄という着こなしがイメージできますが、それはそれ、例えばスーツとタンクトップにイタリアンな革サンダルを合わせる様にハンドメイドな革張りの雪駄をサンダルとしてあわせてみると、非常に格好良いのではないでしょうか。そこで横小路氏と企画を練って07'SSより取扱いを始めることになりました。今後も日本伝統の物作りを活かしたアイテムを洋服の世界にリアルプライスで提案していく“一兎”の取り組みは要注目です。
一兎 LEATHER SETTA (税込) ¥20,790 通常の雪駄に対して、厚めのコルクを挟み込み、更にその上にウレタンを一層入れた非常に足に優しい一足。 通常の雪駄は畳表にしろ革張りにしろ底革の上に直接付いているので、クッションの良いスニーカーに馴れた現代 人には足が痛くてすぐに疲れてしまう物ですがこの雪駄は一味違います。底革はもっと高い雪駄でもすぐに鞣せ て安価なクロム鞣しの物を使用していますが、この雪駄には一流どころの革靴に使用しても恥ずかしくないタン ニン鞣しの物を使用しています。そしてコルクも砕いたコルクを練った練り物のコルク材を使う所が多いのです が、本物のコルクを使用しています。材料を吟味して現代人の足にも負担が少ないように工夫したこの雪駄は、 単に革を張り合わせただけの革サンダルに対してハンドメイドのクオリティの高さからくる高級感でも勝ってい ますし、何より足に対する負担の少なさで履くと判る圧倒的な履き心地を約束してくれます。 そして、この土台に対して、共地の革を使った鼻緒を通常はつけておりますが、なんと言っても鼻緒職人のプロ デュースですので、鼻緒のすげ替えが自由に効くのです。
一兎 鼻緒各種 (税込) ¥7,140 今回載せているのはホンの一例で(丁度お客様が鼻緒を変えて注文して下さったので載せられました)デッドスト ックの素材や通常鼻緒に使われない様々なテキスタイルを鼻緒にしてあるので、ベーシックな土台を手に入れて 鼻緒をすげ替えれば、いくらでも表情を変えることができるのです。つまり今回のこのレザー雪駄も履き易さそ のままに鼻緒をすげ替えることで、大人しい顔から個性的な顔まで様々に楽しむことが出来るのです。ちなみに 買ってからすげ替えたいときにB.A.TMに持ってきて下されば数日の内にすげ替えます。本気の物作り、しかも日 本固有の物作りな上普段から使えて更にすげ替えで楽しめる。こんな楽しいことはなかなか無いと思いますよ?
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