MIZUNO CREATION(ミズノクリエーション)

 近年、スポーツメーカーのアパレル進出が顕著である。海外スポーツメーカー(NIKE・ADIDAS・PUMA等々)は有名選手の名を冠したモデルや、大学等のクラブのユニフォームが日常的に着用されることにより今日の人気を不動の物にしてきた。しかしそれはスポーツウェアがデイリーウェアの中に取り入れられてきただけで機能的ではあるが決して街中で日常着るためのデザインではなく、その限界を打破しようと様々な試みがなされてきた。それは有名デザイナーとのコラボレートモデルであったり、高級なローテク素材(ワックスコットンやブライドルレザーなんかね)を用いたクラッシックなデザインの物であったりと色々だが、別に大手スポーツメーカーが今更やる必要のない単なるアパレルになってしまっている企画が目に付くのも否定し難い事実。
 そんな中にあってミズノクリエーションは他と全く違ったコンセプトで企画されている。そもそも日常着としてスポーツファッションとされる物はほぼ海外メーカーに占められており、悲しいかな国産メーカーは純粋にスポーツ用品としての機能では高い評価を受けながらファッションとしてはなかなか受け入れられていない。それは対象となるスポーツが日本選手が活躍する陸上や水泳、日本プロ野球といった日常とは距離を置いた感のあるスポーツなのが一因なのだろうが、そういったスポーツ選手のために開発された素材はどれも素晴らしい機能を持っている。いってみればその素材こそがスポーツメーカーの命とも言える。その芯の部分を活かしつつメーカーを敢えて表に出さず、イメージコントロールをダイヤモンドヘッズ、ディレクションをスタイリストの長瀬哲朗氏、デザインを元PPCM/現AITCHの渡辺拓氏というドリームチーム(スポーツネタだけに言ってみたかった)的な面子を揃え、一見普通に格好良い服、でもそこに使われている素材はミズノが開発した特殊素材(体感温度が5℃ほど涼しく感じられるアイスタッチや、水分によって発熱するブレスサーモ等々)というファッションと機能の融合した今までにないプロジェクトになっている。格好良い上に快適という理想の街着として、そしてスポーツブランドの単なるアパレル化に対するアンチテーゼとして注目していきたい。

MIZUNO CREATION 60/40NYLON P/O WIND BREAKER (税込)¥60,900

ローテクな防水素材である60/40ナイロンをオリジナル配色のグレンチェックに織り上げ、一見レトロなアウトドアウェア風に仕上げていますが、フードからチラリと見えるメッシュがくせ者。ミズノが陸上選手などの体温調節用に開発したクールタッチという素材を採用。この生地は着用すると体感温度が3〜5℃涼しく感じられると言う物で春のブルゾンとして気温が上昇したり運動したりと、ウェア内の温度が上昇することにより汗をかいたりすることを軽減し、快適な装着感を約束します。パターンや縫製にもこだわりと細心の注意が払われており、この手のスポーツウェアなデザインの物にはまず見られない限界まで柄合わせをしている所など感動的ですらあります。デザインと縫製と素材が高度に融合された今シーズンのキモ的なアイテムです。MIZUNO CREATION 60/40 NYLON PAINTER PANT (税込)¥29,400同じ60/40ナイロンを使ったペインターパンツ。こちらにはクールタッチは使われていないが、闇雲に素材自慢に走らないところが好感を持てる。ペインターパンツのディテールを用いてデザインされているが、股上を浅く腿周りはタイトにしてスッキリ綺麗なシルエットにしているからこの裏にメッシュを付けたらムッチリしてそのシルエットが台無しになってしまう。同素材のトップスで使っているから当然パンツにも使用した方が売りにはなるだろうに、機能素材を使うかどうかもあくまでトータル的な完成度を基準に考えて、このパンツには使用しなかったのだろう。それだけにこのパンツの完成度は非常に高く、履き心地、シルエット共に素晴らしく良い。
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